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一度まとまった遺産分割。全員が合意すればやり直せますが、税では相続扱いになりません

税金 相続・贈与
一度まとまった遺産分割。全員が合意すればやり直せますが、税では相続扱いになりません
一度まとまった遺産分割。全員が合意すればやり直せますが、税では相続扱いになりません

お盆に親族が集まると、あのときの分け方でよかったのかという話が出ることがあります。判を押した遺産分割協議は、実はやり直すことができます。ただし条件は厳しく、税の扱いは最初の分割とは別物になります。もう一度話し合う前に、何が起きるのかを確かめておきましょう。

四十九日の席で決めた分け方に、後から出た疑問

「四十九日のあと、みんなで集まった流れでそのまま判を押しました。半年たって、実家の評価を誰も調べていなかったと気づいて」。中部地方に住む40代の女性は、兄と自分の取り分が釣り合っているのか気になり始めたといいます。

遺産分割協議は、相続人全員の話し合いで遺産の分け方を決める手続きです。民法907条1項は、被相続人が遺言で禁じた場合や、相続人間で分割しない旨の契約をした場合などを除き、共同相続人はいつでも協議で遺産の全部または一部を分割できると定めています。ただし、一部の分割で他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合は、この限りではありません。そして民法909条により、その効力は相続開始の時にさかのぼって生じます。ただし、第三者の権利を害することはできません。

いったん成立した協議も、動かせないわけではありません。

全員の合意があれば、解除して分け直せる

最高裁判所は平成2年9月27日の判決で、共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部または一部を合意により解除したうえ、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではないと判断しています。

ここで効いてくるのが全員という言葉です。1人でも反対すれば、合意による解除はできません。取り分が減る相続人が首を縦に振らないかぎり、話は動かないことになります。

合意が得られない場合でも、道が完全に閉ざされるわけではありません。判断の前提となる重要な事情に思い違いがあった場合は錯誤による取消し(民法95条)、だまされたり脅されたりして判を押した場合は詐欺または強迫による取消し(民法96条)を主張できる余地があります。

話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を使えます。相続人の1人または何人かが、他の相続人全員を相手方として申し立てる手続きです。申立先は相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所で、費用は被相続人1人につき収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手です。調停が不成立になると、自動的に審判の手続きが始まります。

合意によるやり直しは税では「相続による分割」として扱われない

見落としやすいのが税の扱いです。国税庁の相続税法基本通達19の2-8は、配偶者に対する相続税額の軽減にいう分割の意義について、当初の分割により共同相続人などに分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は分割により取得したものとはならないとしています。

つまり、全員の合意による解除・再配分で動いた財産は最初の分割と同じようには扱われません。相続人の間での財産の移転として、贈与税や譲渡所得等に係る所得税といった別の課税関係が生じることがあります。ただし、当初の分割に無効または取消し得べき原因がある場合などは、課税関係が異なる可能性があるため、個別確認が必要です。

押し直す前に、専門家を一度はさむ

やり直しは、法律上できることと、税で不利にならないことが一致しません。全員の合意が取れる見込みがあるのか、動かす財産にどんな課税が生じるのか。この2つを確かめずに判を押し直すと、分け方は納得できても手取りが減ることになりかねません。集まる機会があるうちに、弁護士や税理士などの専門家へ一度相談しておきましょう。

《編集部》
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執筆者: 編集部 編集部

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