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2023年は「インフレとデフレ」どちらにも対応できる金融商品を選ぼう

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2023年は「インフレとデフレ」どちらにも対応できる金融商品を選ぼう

アメリカの中央銀行にあたるFRBは、政策金利であるFF金利の誘導目標レンジを、2022年中は次のように引き上げしたのです。

2022年の開始時点:「0.00~0.25%」
3月:0.25%引き上げして「0.25~0.50%」
5月:0.5%引き上げして「0.75~1.00%」
6月:0.75%引き上げして「1.50~1.75%」
7月:0.75%引き上げして「2.25~2.50%」
9月:0.75%引き上げして「3.00~3.25%」
11月:0.75%引き上げして「3.75~4.00%」
12月:0.5%引き上げして「4.25~4.50%」

政策金利が引き上げされると銀行などの金融機関は、以前よりも高い金利で資金調達をするため、企業や個人に対して貸出する時の金利を、引き上げする必要があります。

これにより企業や個人は、以前より資金を借りにくくなるため、経済活動が抑制されます。

結果として株価が下落するだけでなく、過熱した景気が沈静化してくるため、インフレ(物価が継続的に上昇する経済現象)が収まってくるのです。

2022年のアメリカ経済を振り返ってみると、年初から株価は下落を続けました。

一方でインフレはなかなか収まらなかったのですが、2022年後半に入った辺りから、CPI(消費者物価指数)などが低下を始めたため、インフレが収まる兆しが見えてきたのです。

これを受けてFRBはFF金利の引き上げペースを、12月は少しだけ緩やかにしました。

ただ2022年11月のCPIは前年同月比で7.1%の上昇となり、依然として数値が高いため、2023年に入ってからも引き続き、FF金利は引き上げされると思います。

インフレとデフレの、どちらにも対応できる金融商品を選ぼう

金利差の拡大による円安は勢いを失っている

日本の中央銀行である日銀は、長期金利(10 年物国債の金利)をプラスマイナス0.25%の範囲内に操作する、YCC(イールドカーブ・コントロール)という政策を実施してきたのです。

2022年は長期金利の上昇が続き、プラス0.25%を超える場面が何度もあったので、日銀は指し値オペ(指定した利回りで国債を無制限に購入する制度)を実施し、長期金利を範囲内に抑えたのです。

一方でFRBは上記のように、金利を急ピッチで引き上げしたので、日本とアメリカの金利差は拡大していきました。

また金利差の拡大により、金利の低い円を売って、金利の高い米ドルを購入する動きが加速したのです。

そのため2022年初めには、1米ドル=115円くらいの水準だったものが、10月には1米ドル=150円台に達しました。

ここまで急激な円安が進むと、日本経済に悪影響が出てくるため、財務省は2022年9月と10月に、米ドル売り円買いの為替介入を、24年ぶりに実施したのです。

また日銀は2022年12月にYCCの許容変動幅を、プラスマイナス0.25%から0.5%に拡大したため、日本とアメリカの金利差は縮小したのです。

これらによって2022年初め頃から始まった急激な円安は、今のところは勢いを失い、円高傾向が続いております。

変動金利制で最低金利保証がある個人向け国債(変動10)

日銀がYCCの許容変動幅を拡大し、プラス0.5%までの金利上昇を容認したのは、日本でもアメリカほどではないにしろ、インフレが続いているからだと推測されます。

2023年になってからも引き続き、インフレが続くという予想が多いのですが、デフレ(物価が継続的に下降する経済現象)に逆戻りするという予想もあります。

その理由としては円安や資源価格の上昇が勢いを失っているため、これらによって生じていた輸入原材料などの値上げに、歯止めがかかる可能性があるからです。

また賃金の伸びが物価の上昇に追いつかなかった場合、個人消費の落ち込みが続くため、企業は商品などの価格を値上げするのが、更に難しくなるからです。

いずれの予想も説得力があるので、2023年はインフレとデフレのどちらにも対応できる金融商品を、選んだ方が良いと思います。

その代表的なものは個人向け国債の一種である、変動10(変動金利型10年満期)だと思います。

なぜ変動10が良いのかというと、半年毎に適用利率が変わる「変動金利制」を採用しているため、多少の時間的なズレはありますが、インフレによる金利上昇に対応できるからです。

また変動10には年率で0.05%という、最低金利保証(適用利率の下限)があるため、デフレに逆戻りして金利が低下しても、これよりは低くならないからです。

なお発行から1年が経過すれば、原則としていつでも、全部または一部の中途換金が可能になるため、10年後の満期まで保有しなくても良いのです。

インフレとデフレに対応できる投資信託を積立する

FRBがFF金利を引き上げしたことにより、アメリカの株価は下落が続いております。

ただコストが上昇した分の価格転嫁が進めば、企業の売上や利益などが増加し、株価は上昇しやすくなるため、株式は長期的にみると、インフレの時代に適した金融商品なのです。

一方でデフレに逆戻りして、金利が低下してくると、債券価格は上昇しやすくなるため、債券はデフレの時代に適した金融商品なのです。

またインフレが続くと、家賃や価格が上がりやすい不動産は、インフレ対策になるだけでなく、デフレになっても家賃は下がりにくいため、デフレ対策にもなるのです。

不動産を購入するためには、多額の資金が必要になりますが、リート(不動産投資信託)であれば少額から購入できます。

そうなると株式、債券、リートを保有していれば、インフレとデフレのどちらが来たとしても、その状況に対応できるのです。

また日銀の政策変更によって、日本と世界各国の金利差は縮小しておりますが、依然として金利差は大きいので、2022年と同じように外貨建て資産を購入する方が増え、この価格が上がる可能性があります。

そのため円建て資産だけでなく、外貨建て資産も保有しておいた方が良いのです。

こういった点から2023年は、8資産(国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、先進国リート)に対して均等に配分した、次のような投資信託を選んだ方が良いと思います。

・たわらノーロード バランス(8資産均等型)
・iFree 8資産バランス
・SMT 8資産インデックスバランス・オープン
・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
・つみたて8資産均等バランス
・eMAXIS バランス(8資産均等型)

もちろんインフレとデフレのどちらが来るのかを予想するのは、いつの時代も難しいので、これらの投資信託を長期に渡って積立しても良いのです。

その際には年間40万円までの積立投資から生じた利益が、最長で20年に渡って非課税になるという、優れた税制優遇が付いている、つみたてNISAを利用してみるのが良いと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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