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昨今、奨学金の返済負担が話題となっています。雇用が流動化する中で、奨学金を返済することがままならず、返済が滞納してしまい、債権回収会社からの取り立てに苦しむといったニュースも耳にします。
独立行政法人日本学生支援機構の平成26年度事業報告書によると「1日以上返還の履行を怠っている者は32万8千人(9.1%)」となっています。およそ1割の人が滞納しているものと考えられます。中には、度重なる督促に対応できず、320件の強制執行が行われたとも同書に記されています。
これらの状況を受けて、「奨学金を貸すのが悪い」、「学校の先生に勧められて、奨学金を借りて進学したせいだ」との意見が垣間見られます。
ただ、これらの意見をそのまま受け止めても良いのでしょうか?
似たようなケースは、住宅購入でも見られます。住宅ローンを組んでマイホームを購入したものの、その後の返済が滞り競売によって資産を失うといったような場合です。
このような話を耳にして、「住宅ローンを貸した銀行が悪い」、「不動産営業に勧められて、住宅ローンを組んで購入したせいだ」と責任転嫁することが、一般的に認められているのでしょうか?
「学生に借金の責任を負わせるな」との意見もあるかもしれませんが、その責任は「親の同意」(特殊な事情がある場合を除く)のもとに成り立っていることを忘れてはなりません。
奨学金は個人の「借金」です。しかし、企業も借金をしています。彼らは借金をすることにより投資を増やし、さらに事業を拡大しています。
同様に、奨学金も学生本人に対する「投資」です。自己責任論になってしまいますが、その投資を生かすも殺すも本人次第なのです。
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お金を借りて進学するのであれば、学生自身が「授業をしっかりと聴く」、「社会人としてのマナーを身に付ける」ことを意識して、学生生活を充実させることが必要なのです。昨今、授業中にスマートフォンをイジる学生が多いと言われています。このような状況で、日本学生支援機構や高校に責任転嫁することができるのでしょうか?
少子化を背景に、安易に奨学金を借りることができるようになってしまった状況に、確かに問題点はあります。しかし、「安易に借りた」のは学生自身であり、連帯保証人の親自身でもあります。
進学を検討する際には、「お金をどうやって準備するか?」だけではなく、「お金をどう生かすか?」を検討したいものです。奨学金を有効活用し、より高いスキルを身に付け、より高い報酬を得られる人材に育ってほしいと願うばかりです。(執筆者:小山 信康)