日銀のマイナス金利導入により、金融機関各社は、3月より住宅ローン金利の引き下げを次々と発表しています。
新規借り入れを検討している方はもちろんの事、すでに住宅ローンを借り入れている方も、何とかこのマイナス金利を活用したいものです。
目次
まずは借り換えの検討を
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低金利時の住宅ローンの見直しにはセオリーがあります。
優先順に
2. 繰り上げ返済 期間短縮型の検討
3. 繰り上げ返済 返済額軽減型の検討
となります。
なぜ借り換えの検討が優先されるかというと、低金利の恩恵を受けるのは借り換えだけだからです。
一方、繰り上げ返済は、単に自己資金の使い方の問題です。自分のお金を返済に充てるか、あるいは預貯金・現金のまま保有しておくかの違いです。
固定期間終了時(変動金利では半年間)の金利を除いて、今の金利水準は関係ないのです。
条件変更の交渉は、ローンが支払えなくなった場合以外ではなかなか交渉に応じてもらえないので、応じてもらうには他の金融機関への借り換えの意思があることが必要となるでしょう。
借換えの注意点
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借り換えとは、他の金融機関から新たにローンを借りて今借りているローンを一括返済するものです。
例えば金利1.8%で借入残高3,000万円、期間残30年とすると、返済額は月々10万7,910円で、総支払額は3,884万7,600円になります。
このローンを金利1.4%に借り換えた場合、月々の返済額は10万2,090円、総支払額3,675万2,400円となります。
借り入れる金融機関を金利の低いところに換えるだけで、この例ですと月々5,820円、総支払額で209万5,200円も支出を抑えられます。
但し、借り換えには注意点があります。
2. 借り換えには費用がかかる
3. 返済期間は、元の(今現在の)ローンを引き継ぐ
借り換えローンにも審査があります。
今のローンを借り入れた時と比べ、「収入が下がった、転職して間がない、カードローン・教育ローンなど、他に借金がある」場合、審査に通らず借り換えできない場合があります。
また、借り換えには費用がかかります。
故に借り換え効果が期待できるのは一般的に
残存期間10年以上
借入残高500万円以上
が目安といわれています。
但し、借り換え効果の説明で使った事例のように、金利差が0.4%であっても残高が3,000万円、残存期間が30年など、他の項目が突出して入れば、3つの目安の範囲内でなくとも効果が期待できます。
要は、借り換え効果が、借り換え費用を上回ればいいのです。
借り換え効果に関しては、金融機関のローンシュミレーションを使って計算できます。
お手持ちの返済予定表よりローン残高を借入高、借入期間をローン残存期間とします。
そして現在のローンの金利と、借り換え予定の金融機関の適用金利を使って、月々の返済額と総支払額をそれぞれ計算し、差額を計算します。その額が借り換え効果です。
借り換え費用は手計算します。
抵当権設定の登録免許税が借入金額の0.4%、抵当権抹消が不動産1個につき1,000円、印紙税2万円程度、司法書士報酬が3万円~10万円程度なので仮に10万円とします。
保証料、事務手数料、一括繰り上げ返済手数料などは金融機関によって異なるので、自身で調べていただくか、金利上乗せ方式の金融機関であれば、金利に含まれていますので考慮せずに計算します。
結果、効果が費用を上回れば、借り換えする価値があります。
尚、現在のローンの保証料を一括で支払っている場合、残存期間の保証料は返金されますが、期間按分ではないので、思ったほどは返金されません。
借り換えのローン返済期間は、現在のローン残存期間を引き継ぐため、現在のローンを繰り上げ返済期間短縮型で返済期間を短くしていた場合、返済負担率で借り換えできない場合があります。
借り換え効果が借り換え費用を下回った場合、借り換えローンの審査に通りそうにない場合、借り換え費用がない場合、次に考えるのが繰り上げ返済です。
効果が大きいのは期間短縮型ですが
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繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額軽減型の2種類あります。
期間短縮型は、毎月の返済額を変えずに、借入期間を短くする方法です。例えば2,000万円のローンを20年で借りていたものを、100万円支払って1,900万円のローンを19年で借り直すようなものです。
一方返済額軽減型は、返済期間を変えずに、毎月の支払額を引き下げる方法です。1,900万円のローンを20年で返すので、2,000万円借りていた時より月々の返済額は下がります。
期間短縮型の方が、ローンを借りている期間が短くなる分、短縮した期間分の金利負担がなくなり、繰り上げ返済の効果は大きくなります。
期間短縮型と返済額軽減型のどちらを選ぶのか?、選択の基準は今後家計の負担が大きくなるかどうかで決まります。
繰り上げ返済期間短縮型は、満期がローン終了まで、金利がローン返済金利の解約できない定期預金に預けるようなものです。
繰り上げ返済の効果は、ローンを完済してからでないと実感できません。
今は家計に余裕があっても、子供の進学など家計に余裕がなくなるようなライフイベントを控えている場合、効果が大きいからといって期間短縮型はお勧めできません。
もしも、今後家計が厳しくなると予想されるのであれば、たとえ効果は小さくとも、返済額軽減型をお勧めします。
繰り返しになりますが、ローンの見直しは、まずは借り換え、次に繰り上げ返済の期間短縮型、最後に繰り上げ返済の返済額軽減型の順でご検討下さい。(執筆者:田島 稔之)