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あの子には渡したくない。廃除の対象は、遺留分を持つ推定相続人だけ

シニア 終活
あの子には渡したくない。廃除の対象は、遺留分を持つ推定相続人だけ
あの子には渡したくない。廃除の対象は、遺留分を持つ推定相続人だけ

親族が顔を合わせる時期に、財産を誰に渡すかの話が出ることがあります。特定の相続人にだけは渡したくないという思いから遺言を書いても、それだけでは望みどおりにならない場合があります。相続人の資格そのものを失わせる制度が、民法には別に用意されています。

十年以上会話のない長男と、身の回りを支えてきた次男

「もう何年も、顔を合わせるたびに手を上げられてきました。」地方でひとり暮らしをする80代の父親は、同居していない長男との関係をそう話します。日々の買い物や通院を支えてきたのは、近くに住む次男夫婦でした。

財産はすべて次男に渡したいと考え、遺言を書こうとしたところで行き止まりに突き当たります。遺言で長男の取り分をゼロにしても、長男には遺留分が残るからです。父親にとっては、そこが最後まで引っかかっている点でした。

遺言では消せない遺留分を、資格ごと失わせる

ここで出てくるのが推定相続人の廃除です。被相続人が家庭裁判所に請求し、認められればその人は相続人でなくなり、遺留分も併せて失われます。

民法892条は、遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたとき、または推定相続人にその他の著しい非行があったときに、廃除を家庭裁判所に請求することができると定めています。対象が遺留分を有する推定相続人に限られる点は押さえておきたいところです。兄弟姉妹にはそもそも遺留分がないため、渡したくないなら遺言で足ります。

似た制度に相続欠格がありますが、こちらは別物です。

あの子には渡したくない。廃除の対象は、遺留分を持つ推定相続人だけ

欠格の事由は、故意に被相続人を死亡させて刑に処せられた、遺言書を偽造や隠匿したといった行為です(民法891条)。

存命中に自分で請求するか、遺言で執行者に託すか

廃除には2つの入口があります。ひとつは存命中に本人が家庭裁判所へ請求する方法、もうひとつは遺言で廃除の意思を示しておく方法です。

後者では、遺言執行者が、その遺言が効力を生じた後に遅滞なく家庭裁判所へ請求します(民法893条)。認められたときの効力は、被相続人が亡くなった時にさかのぼります。遺言で廃除するなら、遺言執行者を指定しておくか、指定がない場合には家庭裁判所で選任してもらう前提で考える必要があります。

いったん廃除しても、被相続人はいつでも取消しを家庭裁判所に請求できます(民法894条)。また、廃除された人に子がいれば、その子が代襲して相続人になります。代襲するはずの子も死亡・欠格・廃除などで相続できない場合には、孫が代襲します(民法887条2項・3項)。家系ごと外す手立てではない、ということです。

渡したくない相手がいるなら、遺言の文面より先に記録を残す

廃除は請求すれば通るものではなく、認めるかどうかは家庭裁判所が個別の事情を見て判断します。遺言で廃除する場合、結果を本人が見届けることはできません。だからこそ、いつ何があったのかを日付とともに書き留めておくことが、文面を考えるより先に手をつけられることになります。

《編集部》
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