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大家が壁紙代をどこまで請求できるか

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大家が壁紙代をどこまで請求できるか
大家が壁紙代をどこまで請求できるか

退去のたびに壁紙の費用でもめる、という声は少なくありません。請求できる範囲には考え方が定まっており、そこを外すと支払いを断られたり、後から返還を求められたりします。線引きを知っておくと、説明も早く済みます。

6戸を貸す50代オーナーが返還を求められた場面

「退去後に壁紙を全面張り替えて請求したら、払えないと言われまして」。都内で6戸を貸す50代のオーナーは、そう振り返ります。契約書には原状回復の条項を入れていたといいます。

こうした場面で前提になるのが民法621条です。賃借人は損傷を原状に復する義務を負うとしつつ、その損傷から「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」を除くと定めています。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるときも、この限りではありません。暮らしの中で自然に生じた傷みは、原則として義務の外にあるところから話が始まります。

年数を織り込んで計算する

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、壁(クロス)について「6年で残存価値1円となるような負担割合を算定する」としています。経過年数を織り込んで負担割合を出す、という考え方です。実務上は、入居年数で代替する方式も示されています。

同じ傷でも、経過年数や入居年数が1年の部屋と6年の部屋では請求できる額が変わります。年数を無視して新品同様に戻す費用をそのまま求めると、支払いを断られる理由になります。ここで具体的に考えると、退去のたびに全面張り替えを前提に見積もりを立てている場合、年数の長い部屋ほど請求できる部分は小さくなっていきます。

一方で、年数を掛けない部位もあります。同じガイドラインは、襖や障子などの建具部分、柱については「経過年数は考慮しない」としています。部位ごとに扱いが違う点は、説明する側が把握しておきたいところです。

請求できる範囲と単位

範囲の考え方も定まっています。ガイドラインは、部屋全体のクロスの色や模様を一致させるのは商品価値の維持という側面が大きく、全体の張り替えを賃借人の義務とすると「原状回復以上の利益を賃貸人が得ることとなり、妥当ではない」としています。

そのうえで、毀損等が複数箇所の場合は居室全体の平方メートル単位が望ましいとしつつ、毀損した箇所を含む一面分までは賃借人負担としてもやむをえない、と整理しています。工事の施工単位についても、壁(クロス)は最低で平方メートル単位という目安が示されています。見積もりを部屋単位でまとめてしまうと、この線引きが説明できなくなります。

例外は喫煙などのケースです。居室全体においてクロスがヤニで変色したり臭いが付着した場合に限り、居室全体のクリーニングまたは張り替え費用を賃借人負担とすることが妥当、とされています。

もめる前に条件を共有しておく

このガイドラインは法令ではありません。民間の賃貸借契約は契約自由の原則によるものとし、行政が内容を規制するのは適当でないという立場から、裁判例などを踏まえた考え方を示したものです。だからこそ、契約の時点で負担の範囲と年数の扱いを書面で共有しておくと、退去時の説明が短く済みます。判断に迷う事案は、宅地建物取引業者や弁護士などの専門家に確認しておくと安心です。

《編集部》
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執筆者: 編集部 編集部

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