
確定申告を紙で出してきた人にとって、電子申告は「そのうち」で済む話でした。ところが入口の一方が令和7年10月に閉じ、税務署で本人確認を受けてIDとパスワードをもらう方法は、新しく発行してもらえなくなりました。これから始める人が用意するものは、もう一方に寄せられています。
電子で出す入口は2つ、新しく作れるのは片方だけ
確定申告書等作成コーナーからe-Taxで申告する主な方法は2つあります。マイナンバーカードを読み取って本人確認する「マイナンバーカード方式」と、税務署が本人確認をしたうえで発行するIDとパスワードを使う「ID・パスワード方式」です。後者は一度税務署へ行けば、カードも読み取り機もなしで送れる方法でした。
過去形なのは、その入口が令和7年10月1日に止まったからです。国税庁は同日から、新たにe-Taxで申告する人にマイナンバーカード方式を案内し、ID・パスワードの新規発行を停止しました。すでに届出を済ませた人は引き続き使えますが、この方式自体が令和9年分の確定申告からは使えなくなる予定です。
判断はここで分かれます。e-Taxで初めて送るなら、案内されるのはマイナンバーカード方式です。すでにIDとパスワードを持っている人は当面そのままでよく、いずれ切り替えると考えておけば足ります。
カード方式で手元にそろえるもの
そろえるのは3つです。1つ目はマイナンバーカード。2つ目は読み取る道具です。パソコンから使うならICカードリーダライタか、読み取りに対応したスマートフォンで代用できます。パソコンを使わず、スマートフォンだけで完結させることもできます。
3つ目がつまずきやすい暗証番号です。国税庁は、カードの交付時に3種類を設定するよう案内しています。

ロックされたら、住民票のある市区町村の窓口で再設定できます。署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書のパスワードは、片方が分かる場合に限り、スマートフォンで事前予約してコンビニ等のキオスク端末で初期化・再設定する方法もあります。なお、e-Taxには16桁の利用者識別番号が要りますが、カード方式ならログイン画面で読み取って利用者情報を登録でき、税務署へ行く必要はありません。
カードがまだない人が踏む順路
持っていないなら、そこから始めます。申請の方法は、交付申請書を使う郵送、オンライン、まちなかの証明用写真機の3通りです。
待つのはこの先です。地方公共団体情報システム機構のマイナンバーカード総合サイトは、交付申請を行うと、概ね1か月で市区町村から交付通知書(はがき)が届くと案内しています。交付通知書というはがきが届いたら、本人確認書類を持って交付場所へ本人が出向き、窓口で本人確認を受けます。その場で暗証番号を設定して、ようやくカードが渡されます。思い立ってから使えるまで、1か月以上かかる前提で動くことになります。
動くなら、申告の時期に入る前がいい
始める手続きと、申告そのものは別物です。交付通知書が届くまで概ね1か月で、そこから交付場所で受け取る手続きも必要です。暗証番号を忘れていれば再設定にも時間がかかります。申告期間に入ってから慌てると、この分がまるごと遅れになります。青色申告で最大65万円の特別控除を受けたい人は、期限までにe-Taxで送ることが、65万円控除を受けるための方法の一つです。次の申告まで間があるいまのうちに、カードと暗証番号を整えておきましょう。


