
国民的なお菓子の値上げに対する寛容な態度と、家賃の値上げに対する法的な防衛策を対比させた文章がXに投稿され、大きな反響を呼んでいます。どエンド君(@mikumo_hk)さんが投稿したこのポストには8.4万いいねが集まり、話題となりました。専業の不動産投資家という貸主の立場でありながら、借主側の視点を発信したどエンド君さんに、家賃交渉の裏側や物件選びのポイントについて話を聞きました。
――専業の不動産投資家である貸主のお立場から、あえて借主側の防衛策とも言える家賃値上げへの法的な対応策を発信しようと思われた背景を教えてください。
「お家賃の値上げに関しては世論がきびしいなーと思ってポストしました。みなさんなるべくお家賃アップはすんなり受け入れていただけたらと思います」
――投稿内で触れられている「正当な理由がない家賃の大幅な値上げ」について、不動産投資家の目線から見て具体的にどのようなケースがこれに該当するとお考えか教えてください。
「ほんとは立ち退きしたいけれど立ち退き料を払わずに、嫌がらせのように大幅な増額をして退去させようとするオーナーも一部にはいます。たとえば民泊をしたい、解体して更地にしたい、など入居者がいるとままならないことって結構あるんです」
――実際に貸主や管理会社から家賃の値上げを打診された際、借主は専門窓口へ相談する前にどのような準備や事実確認をしておくべきか具体的なアドバイスをお願いします。
「普通借家か定期借家かまず契約書を確認しましょう。定期借家であればもう諦めてください、再契約してもらえなくなります。普通借家であれば借主が強いので、周辺の募集賃料をみてこれくらいなら仕方ないか、という範囲で穏やかに交渉してみましょう。あと継続賃料でググってみてください。ときどき喧嘩腰でくる人もいますが、そういうのはあまり得策ではないと思います」
――お菓子などの日用品と異なり、家賃という生活基盤における価格転嫁が借地借家法等で厳しく制限されている現状について、最前線に立つ投資家としてのご見解をお聞かせください。
「借地借家法はいまの時代にそぐわないなーと思うことも多いですが、与えられたルールで遊ぶのが資本主義ゲームなので、そういうものとしてやっていきます」
――投稿主様から見て、将来的な不当な家賃値上げなどの賃貸トラブルを避けるために、借主が物件選びや契約時に気をつけるべきポイントを教えてください。
「大手財閥系が貸してるマンションとかは、やっぱり安心だと思います。あとは運です。私みたいにおかしなオーナーもたくさんいます。そして借りたときはまともなオーナーだったのに、おかしなオーナーに物件が売られてしまうこともあります。こればかりは運です。ハズレオーナーにあたってしまったら引っ越しましょう。気軽に引っ越せるのが賃貸のいいところです」
では正当な値上げとは?
不当な値上げの背景には、貸主側の事業転換や物件整理の思惑が隠れているケースも存在するそうです。
では正当な値上げに該当するのはどのような条件でしょうか。
家賃の値上げ自体は、「借地借家法」という法律によって認められています。しかし、これは大家さんの「ローン返済がきつい」といった個人的な都合で自由に行えるものではなく、客観的で正当な理由が必要です。
具体的には、主に以下の3つの条件のいずれかに当てはまる必要があります。
税金の増減額:土地や建物に対する租税(固定資産税など)が上がった
経済事情の変動:物価や経済状況が著しく変動した
相場との乖離:周辺にある似たような物件(間取り・築年数・立地など)の家賃相場と比べて、現在の家賃が明らかに安すぎる
これらに該当しない値上げの要求は、法律上「正当な理由」とは認められにくいのが実情です。
家賃値上げへの対応は?
もし突然、家賃値上げの通知が届いたとしても慌てる必要はありません。実態として一番知っておくべきなのは、「通知が来たからといって、すぐに応じる義務はない」ということです。ご自身を守るために、以下の対応を心がけましょう。
安易に合意しない
一度合意書にサインしてしまうと「お互いに納得して家賃を変更した」とみなされ、後から覆すのは非常に困難になります。まずはその場での合意は避けましょう。
契約書の種類を確認する
ご自身の契約が「普通借家契約」であれば借主の権利が強く、値上げを拒否しても住み続けることができます。一方、「定期借家契約」の場合は期間満了で契約が終了するため、大家さんの提示する新条件を飲まなければ再契約をし、住み続けることができないという違いがあります。
客観的な根拠を求める
「なぜこの金額上がるのか、周辺相場のデータや固定資産税の変動など、客観的な根拠を書面で提示してください」と冷静に伝えます。不当な値上げ打診の場合、ここで引き下がる大家さんも多いです。
「これまでの家賃」を払い続ける
話し合いが平行線になった場合でも、今まで通りの家賃を期日通りに支払い続けていれば、家賃滞納にはならず、追い出されることもありません。 もし大家さんが「値上げした金額じゃないと受け取らない」と受け取りを拒否した場合は、法務局でお金を預かってもらう「供託」という制度を利用して支払いの義務を果たすことができます。
まずは慌てずに、ご自身の賃貸借契約の種類を確認することが重要となります。借主が保護されやすい普通借家契約の場合、相場や「継続賃料」の概念を調べたうえで、冷静に交渉することが望ましいとのことです。
オーナーの質を見極めることの難しさや、物件売却によって貸主が変わるリスクを指摘されました。賃貸ならではの身軽さを活かすことも、自衛の手段の一つとなるようです。


