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自分自身の終末期・死後について考えてみよう 書き留めておくべき項目とは

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自分自身の終末期・死後について考えてみよう 書き留めておくべき項目とは

 「マネーの達人」の読者であれば、住宅取得&ローンによる借入や、教育資金準備、そして資産運用、さらには老後生活資金等について、これまでに何度か考えたり、プラン作成を試みたりした人は多いのではないだろうか。

 どのテーマにおいても、ライフプラン、そして生涯にわたる資金収支(いわゆるキャッシュフロー表)の作成が欠かせず、専門家であるファイナンシャルプランナーに相談されたケースもあるだろう。

 さて、若年層にとっては、まだ縁遠いテーマと考えられがちだが、誰もが人生において必ず直面する「終末ステージ」や「死後のこと」について、本コラムのテーマとして考えてみたい。

「自分の終末期にかかるお金のこと」を考えてみよう

 これまでに、近親者もしくは、ご家族の終末期における介護や葬儀に直接関わった経験がある読者であれば、終末期医療や介護にかかる事情や費用等について詳しいかもしれないが、年齢別にみると生涯で一番医療費がかかるのは、後期高齢期とりわけ終末期であり、また一般的な葬儀には少なくとも200万円から300万円くらいの費用がかかるのが相場だといわれている。

 ライフプランにおける終末期医療や葬儀というイベントに相応の費用がかかることは間違いないところだが、費用だけではなく、自分自身がどのような終末期医療を受けて人生を全うするのか、またどんな葬儀をしてもらいたいのかを早いうちから考え、できることから準備をしておくことは望ましい。

 以前、筆者の事務所へ相談に来られた70歳代の女性との会話が記憶に残っている。

「おかげさまで、大きな持病もなくこれまで暮らしてきましたが、夫に先立たれた自分が、これからも、ずっと一人で健康に生きてゆけるだろうか? もし寝たきりになったら? 判断力が鈍ってきたら? 身の回りのことや資産をどう管理してゆけばよいか? 自分の介護や亡くなった後、子どもたちには迷惑をかけたくない」

 という不安や本音を率直に話されていた。

 死後のことは自分自身ではできない。ましてや単身者である場合、ほかの誰かに託さなければならない。たとえ家族がいても、世帯が別である場合は、自分自身でできる限りのことは事前にしておいた方がよい。死後には、遺族や近親者の間で葬儀に対する意見が異なることも少なくなく、この場合、本人の意思が明らかであれば、”本人の意向”ということで、周囲が丸く収まりスムーズに葬儀が執り行われることが多いだろう。

 よって、後に残る人たちに迷惑をかけないためには、どのように準備し、誰にどのように伝えるかが重要になる。

 その相談者へは

「そのためには、ご自身の終末期や葬儀、そして死後のことについて、ご自身の考えをしっかり整理しておきましょう。いきなり遺言を書くというよりも、箇条書き程度でもいいので、保有されている預貯金等の金融資産のリストや通帳・印鑑類の保管場所、そしてご自身の介護を含めた終末期におけること、さらには死後のことについて、家族や周りの人が困らないため、気付いたことから書き留めていきましょう」

 とアドバイスをした。

 自身の終末期について様々なことを書き留めていった結果、それらをまとめることにより「エンディングノート」が作成されていくことになる。

 最終的には、法的効力を持った遺言書を作成し、残された遺族の方々が、どのように遺産を分割し引き継いでいくかを、ご自身の思いを込めて指定していく必要があるのだが、エンディングノートは遺産分割のことよりも、いかに終末期を迎え、どのような形で命を全うし、ご自身の葬儀をどのような形で執り行い、お墓をどう準備するのかに重きを置いているといえるだろう。

書き留めておくべき項目

 終末期を考える相談者に対し、あらかじめ書き留めるべき項目を下記のように整理した。

◆考えるべきポイント
・自分自身が正常な判断ができなくなったとき、代わりに誰に判断を依頼するか
・老齢期の介護を、誰にどのように依頼したいか
・病名・病状の告知を受けるか
・最後は延命治療を望むか、それともできるだけ自然な状態で死にたいか
・誰にどのような場所(自宅・病院など)で看取ってほしいか
・医療費の支払いはどのようにするか
◆葬儀・墓を考えるポイント
・葬儀でしてほしいこと、葬儀でしてほしくないことは何か
・どのような葬儀にしたいか
・宗教はどうするか
・どのような人に葬儀に出席してほしいか、出席してほしくないか
・どこで葬儀をしてほしいか
・誰に施主(喪主)になってもらうか
・葬儀の費用はどうするか
・墓はどうしたいか(自身の墓を生前に購入・確保されるケースが近年増えている)
◆財産などを考えるポイント
・預貯金口座のある銀行をすべて把握しているか
・加入中の生命保険契約があれば、それらの保険証券を整理する
・預貯金等の金融資産と自宅等の不動産を含めた財産目録を整える
・誰にどのように残したいのか(遺言書の作成を意識すること)
・どこか寄付したいところがあるか

 自身の死後のことについては、30歳代や40歳代の若年層の方にも是非考えてもらいテーマである。独身であれ、家族がいる場合であれ、若くして不慮の事故で突然亡くなるなることもあるからだ。シニア層に比べて、多額の金融資産を残して亡くなるケースはほとんどないだろうが、銀行預金通帳・印鑑や生命保険証券類等の保管場所は、万一の際、近親者もしくは信頼できる友人等に分かる様、まとめて書き残しておくと安心だ。

 また、近年広まっているSNSやクラウド上に、保管しているデジタルデータや写真を自身が亡くなった後、どう処分するかを考えておく必要もあるだろう。いくら家族とはいえ見られたくないデータや情報もあるだろうし、また死後に自身のブログがそのままインターネット上に公開され続けることも避けるべきだろう。

 信頼できる友人に、SNS(FacebookやTwitter等)含め、グーグルやヤフー等のメールアカウントのID・パスワードを託し、死後にアカウントの閉鎖・解約をお願いするのも一案だが、最近では、それらのサービスを含めた死後にかかる事務全般を委託できる「死後事務委託契約」というものがある。

 生前に、司法書士もしくは行政書士等と、依頼する内容(死亡届等の各種行政手続きや社会保険の資格抹消手続き等)を自由に組み合わせて委託契約を締結するものであるが、もちろん費用はかかる。SNS・メールアカウントの削除のみであれば数万円の費用で済む様なので、各自で調べてみることをお勧めする。

 いずれにしても、自分自身の死後のことを意識しづらい若年層にとっても、「死後における自身のデジタルデータの管理・処分をどうすべきか」は、真剣に考えてみるべきテーマだといえるだろう。(執筆者:完山 芳男)

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《完山 芳男》
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完山 芳男

完山 芳男

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表 米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。 寄稿者にメッセージを送る

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