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【確定申告】もし申告しなかったらどうなるのか 「無申告」のリスクを元税務署員が解説

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【確定申告】もし申告しなかったらどうなるのか 「無申告」のリスクを元税務署員が解説

筆者は元税務署職員ですが、税金を支払いたくない気持ちも理解できます。

ただ税金を支払いたくないからとの理由で申告をしないことには賛同できませんし、オススメもできません。

無申告は納税義務違反になることはもちろんのこと、リスクに対するリターンも少ないため、コスパで考えたとしても実施するメリットはないです。

東京国税局

無申告のリスクは想像以上に高い

所得税や贈与税の申告を怠った場合のペナルティには加算税と延滞税がありますが、特に重いペナルティなのは加算税です。

加算税には「過少申告加算税」・「無申告加算税」・「重加算税」の3種類あり、無申告者が対象になるのは無申告加算税と重加算税の2つです。

無申告加算税は、

本税の15%を追加で支払うペナルティ

であり、50万円を超えると税率が5%上乗せされ、加算税は20%に上昇します。

重加算税は仮装隠ぺい行為を行った場合に対象となるペナルティで、無申告者の重加算税は本税の40%と極めて高く、所得税の申告をせず100万円が重加算税の対象となった場合、本税とは別に40万円も支払わなければなりません。

また納税するまでの期間に対して延滞税も発生しますので、納税するのが遅れるごとに支払う税金は増えていきます。

重加算税

所得に関する情報は想像よりも税務署に把握されている

「重加算税のリスクがあっても税務署にバレなければ問題ない」と、思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし税務署の情報収集力は年々確実に上がっていますので、脱税していることが「バレない」のではなく、「まだ税務調査を受けていないだけ」と考えた方がいいでしょう。

税務署の情報収集力の向上している要因は、マイナンバーとインターネット社会です。

マイナンバーの創設以前でも情報収集は行えていましたが、マイナンバーができたことで調査対象者の情報をより集めやすくなっています。

またインターネットを通じてのビジネスや仮想通貨などの取引は、取引情報がそのままネット上に残るため、税務署は申告の有無の事実を後からでも確認できるため、税務署に目を付けられれば高確率で無申告の指摘を受けることになります。

やるべきは「脱税」ではなく「節税」

脱税と節税の差は、違法と合法の違いです。

脱税は違法なので、脱税行為により税金逃れをすれば税務調査により指摘を受けます。

一方、節税行為は合法なので、法律の範囲内で納税額を減らす行為を行っても指摘されることはありません。

節税方法としては、事業者は利益が多いほど所得税を支払う金額が増えますので、設備投資などを行うことで利益を圧縮することができます。

株式を売却して利益が出た人は、同年中に他の銘柄の損切を行うことで利益を小さくすることも可能です。

また会社員の方であれば、住宅ローン控除も節税手段の1つですし、相続税対策のために生前贈与を実施するなど、税金の種類ごとに行える節税方法は無数に存在します。

住宅ローン控除

コスパで考えることも大事

節税を考える際、注意していただきたいのはコスパです。

医療費控除を適用するために病院の領収書を集めて計算しても、還付金が数百円なら、医療費の金額を計算したり、申告書を作成する時間を別の用途に使った方がコスパは高いです。

反対に申告手続きが面倒だから無申告のままでいると、税務調査で何日も拘束される可能性がありますし、ペナルティと余計な税金も支払うことになりますので申告した方がいいでしょう。

1度脱税行為を指摘された人は、翌年以降の正しく申告書を作成したとしても税務署は疑いの目で見てくるようになりますので、確定申告が必要な方は期限までに申告書の提出・納税を済ませてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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平井 拓

執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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