2021年3月からの施行を目指し、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする。
2019年2月15日、菅義偉官房長官は閣議後の会見で、マイナンバーカード普及に向け、消費活性化策や健康保険証と一体化する施策を取りまとめることを決めたと明らかにしました。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする目的は「カードの利便性を高めて普及を促す」ことにあると説明しています。
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その背景には、マイナンバーカード交付率が12%程度にとどまっていることがあるようで、政府としてはマイナンバーカードが健康保険証になることで、マイナンバーカード普及率を上げようとしているようです。
デジタル化が急速に進むIT社会と、私たちはこれからどう向き合っていけばいいのでしょうか。
今回は「マイナンバー制度のこれから」を検証することで、これからの社会での生き方を考えてみましょう。
目次
マイナンバー制度とは(おさらい)
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まずはマイナバー制度のおさらいから。
マイナンバー制度は、2016年1月から社会保障・税・災害保障の行政手続きでマイナンバー利用が始まっているのですが、すでに生活のいろんな場面で、マイナンバーが求められる経験をしているかと思います。
マイナンバー制度については、総務省ホームページに
「マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される」
と説明しています。
総務相ホームページによれば、マイナンバー制度導入の目的は
・行政の効率化
・公正・公平な社会の実現
としています。
以下、それぞれについての説明を、ホームページにあるままに、そのままの文章で掲載します。
1. 「国民の利便性向上」については
これまで、市区町村役場、税務署、社会保険事務所など複数の機関を回って書類を入手し、提出するということがありました。
マイナンバー制度の導入後は、社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続が簡単になります。
2. 「行政の効率化」については
マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。
国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。
3. 「公正・公平な社会の実現」については
「国民の所得状況等が把握しやすくなり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。」
とあります。
マイナンバー制度導入目的を詳しく検証
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これらは、見る角度(行政側か、利用者目線か)で解釈の仕方が異なります。
上記「1」は国民側のメリットを訴えていて、「2」「3」は行政側のメリットのほうが強い感じがします。
そのあたりをもう少し見ていきましょう。
「2. 行政の効率化」を行政側から見れば、行政側が、国民一人ひとりの「事情」を番号だけで全てを把握することができるようになるという表現に置き換えられます。
個人情報把握の効率化であり、そこから行政事務の効率化につながるのでしょう。
同じく行政側から「3. 公正・公平」の部分を見れば「不正受給の防止」イコール、社会保険料や税金の徴収漏れをなくすという表現ができますね。
まさしくこの2項目は、行政側の事情、行政側のメリットに重きが置かれている項目と言えます。
よく「サラリーパーソンが副業したら会社にばれてしまう」という議論がマイナンバー制度に関連付けてありますが、それは、この2つの項目が起因していると考えられます。
マイナンバー制度に関する議論は、主にこの「行政の効率化」と「公正・公平な社会の実現」に対する制度運営によるところが多いようですが、「国民の利便性」は、あまり話題にはなっていないようです。
どうも総務省ホームページにあるマイナンバー制度導入の3つの目的の中の「国民の利便性」が、一番インパクトが弱い感じがします。
それがマイナンバーカード普及率の低下に繋がっているようにも思えます。国民一人ひとりが、自分達の生活においてマイナンバー制度の「価値」を感じていないところがあるようです。
それ以前に、マイナンバー制度に対する情報管理および運営に対する安全性や信頼性の低さが、カード普及率の低さに影響しているのかもしれませんね。
マイナンバーカード普及率向上が目的
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マイナンバーカードを保険証として使えることにする目的が、国民の利便性向上よりも、「マイナンバーカード普及率向上」にあることは、菅官房長官ははっきりと明言しています。
このカード普及率向上の政策として、2019年3月15日、政府は、今まで証明証として活用してきた紙製の「マイナンバー通知カード」廃止を閣議決定しました。
個人番号や氏名、住所、生年月日などを記載した紙製の通知カードは、法公布後1年以内に発行や転居時の更新をやめます。
新たに生まれた子どもや、日本に住む外国人には別の書類で通知することになります。
なぜそんなに全国民にマイナンバーカードを持たせたいか?
そこで
という菅官房長官の発言に注目してみましょう。
政府は「カード普及を前提に政府システムを構築した」とあります。マイナンバーカードが普及しないと政府が困るというのです。
なぜ普及しないと政府が困るのか?
マイナンバーカード普及を前提としたシステム構築が進んでいるのに、普及率12%程度だとマイナンバーカードの存在意義が問われることになります。
また「政府システム構築」において、今以上にマイナンバーカードに盛り込まれる情報を増やす準備があるということなのでしょうか。
そのためには国民全員がマイナンバーカードを持っていないと困るということなのでしょう。
さらに、マイナンバーカードを中心としたインフラ整備も考えられます。景気対策としての新たなインフラ整備は効果的ですからね。
社会保障保険料や税金納付情報や、年金給付、福祉・介護手続や災害時支援利用状況を管理するマイナンバー制度に、あらたに健康保険証機能追加となることで、医療機関利用履歴や投薬履歴が加わることになります。
既に金融機関での新規口座開設には、金融機関の自主的対応として、マイナンバー提出を求めるところがあります。
将来的には義務化され、個人資産情報もマイナンバーに盛り込まれることになるのでしょう。
「社会システムのIT化」という部分でのマイナンバーカード利用は意味があると思います。
ただ、国民の全ての情報を管理する行政および政府側との信頼関係が築かれているのかどうかが大事だと思います。
昨今の不正、隠蔽、捏造の数々を見ていると、とてもこの国の行政は信用できないという感情が起こっても無理はないでしょう。
大事なのは「自分の情報は自分で管理する」という、IT社会に対応した自助努力意識を持つことでしょう。
マイナンバーカード活用における国民の利便性を考えてみる
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政府は「デジタルファースト法案」を閣議決定しました。
その中で、戸籍情報とマイナンバーを連携させる戸籍法改正案も決定しています。(詳しくは以下記事参照)
マイナンバーを提示すれば、婚姻届の提出、パスポート(旅券)の発給申請、児童扶養手当の請求手続きなどで戸籍証明書を取る手間が省けることになります。
本籍地ではない自治体でも戸籍情報を照会できるようになります。
マイナンバーカード取得により、海外に住んでいる日本人も、マイナンバーカードを使うことで、納税や年金受給の手続きをネットでできるようになります。
今は、日本の行政手続きをする際に書面をつくり郵送でやりとりする必要があります。
海外勤務の会社員らからは、海外からの様々な申告における手間の多さを指摘する声がありました。海外在住の日本人にとっても利便性が高まると思います。
まだまだ社会のシステムは変わり、さらに行政手続きは簡素化されていくと思われます。
デジタルファースト制度閣議決定、これからのIT社会で私たちに必要なことは
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政府は15日、行政手続きを原則、電子申請に統一する「デジタルファースト法案」を閣議決定しました。
行政手続きにおけるオンライン化の徹底と添付書類撤廃を目的としたもので、これからの社会は「オンライン化」を徹底されることになります。
その実現には、本人認証の強化としてマイナンバーカード普及の徹底が必要とされています。
政府が積極的にマイナンバーカード普及を進めてきます。
今後は行政手続きにおいてもペーパーレスのデジタル化に転換されるだけでなく、社会生活ではキャッシュレス化が進められてきます。
私たちの生活においてIT化が急速に進んできます。
私たち一人ひとりが、IT社会における自己責任という概念を考えるときが来ています。
自助努力や自己防衛は、今後は、自分の資産保護を含めた個人情報に関して、自分たちのことは自分たちで守るという覚悟を持つ必要があると思います。
それゆえ「知らない」ことの怖さを十分に自覚し、貪欲に情報を求め、国や社会への依存体質から抜け出すように心がけなければならないと思います。
まちがいなくマイナンバー制度に取り込まれる個人情報は拡大していきます。
その環境で、いかに自分自信のアイデンティティを、そして自分たちの財産を守るかを考えなければならないと思いますね。(執筆者:原 彰宏)