
朝食のハム、お弁当のウインナー。この夏、値上げの気配を感じ始めていませんか。1品あたりの上げ幅は数十円でも、毎日・家族分・1年分と積み重なれば、家計にじわじわ効いてきます。すでに7月から一部で始まり、8月には大手が相次いで続きます。なぜ・いつ・どれくらい上がるのか、そしてどう受け止めればよいのかを、家計目線で整理します。
この夏に本格化する、加工肉メーカーの値上げ
朝食のハムエッグ、お弁当のウインナー。毎日の食卓に欠かせない加工肉が、この夏、次々と値上げされます。伊藤ハムと米久、丸大食品はすでに7月から改定を始め、プリマハムや日本ハムが8月から続きます。
気になるのが、その広がりです。帝国データバンクの調査によると、主要食品メーカー195社の家庭用を中心とした飲食料品で、2026年8月は1,898品目の値上げが見込まれています。単月で2千品目に迫る規模で、9月には3,029品目とさらに増える見込みです。加工食品や調味料、酒類・飲料へと波が広がるなかで、加工肉メーカーでも最大約46%の改定が予定されています。
「また少し上がるのか」と身構える前に、まずは何が・いつ・どれくらい上がるのかを押さえておきましょう。
7月組と8月組に分かれる、値上げの時期と品目数
同じ加工肉でも、値上げが始まる時期はメーカーで分かれます。すでに始まった7月組と、これからの8月組に整理して見ておきましょう。

出典:各社の価格改定リリースをもとに作成
先に動き出したのが7月組です。伊藤ハムと米久は、2026年7月1日の出荷分から段階的に改定を始めています。対象は伊藤ハムの計220品目と米久の計70品目をあわせた、合計で290品目。改定率は約5~30%で、納品価格の改定に加えて商品規格の変更も行われます。
丸大食品も、2026年7月1日から順次改定しています。家庭用商品、業務用商品をあわせた約200品目が対象です。価格改定内容は納品価格の改定および商品規格変更で、改定率は5~30%です。
これから始まるのが8月組です。プリマハムは8月1日の納品分から順次、家庭用・業務用のハムやソーセージ、加工食品をあわせて約250品目を改定します。値上げ率は約5.0~35.0%です。
日本ハムも8月1日から順次改定します。家庭向け商品、業務用商品、冷凍食品の約220品目が対象で、改定率は約5~46%。価格の引き上げだけでなく、商品規格変更も組み合わされる点に注意が必要です。
値上げは一部のメーカーだけではなく、加工肉の大手各社で足並みがそろいつつあるのが今回の特徴です。
原材料から物流まで、値上げを招く複合要因
なぜ、これだけの品目が一度に上がるのでしょうか。理由はひとつではなく、複数のコスト上昇が重なっているためです。
土台にあるのは、畜肉や飼料といった原材料の高止まりです。そこにトレーやフィルムなど、石油に由来する包装材・副資材の値上がりが加わります。背景には国際情勢の緊迫化があり、円安もコストを押し上げる要因です。
さらに、工場を動かすエネルギーコストの高騰、商品を運ぶ物流費の上昇、人件費の継続的な上昇も重なります。加えて、農林水産省は、スペインでアフリカ豚熱の発生が確認されたことを受け、2025年11月28日以降、スペインから輸入される豚・イノシシに由来する畜産物について、原則として輸入を停止しています。伊藤ハムや米久は、家畜疾病や国際情勢の緊迫化の影響で原材料価格やユーティリティコストが高騰していると説明しています。ひとつの要因が落ち着いても別の要因が残るため、値上げは長引きやすい構図です。
朝食と弁当に効く負担と、実質値上げの見抜き方
加工肉の値上げがやっかいなのは、使う頻度の高さです。ハムやソーセージ、ウインナーは、朝食やお弁当の定番として毎日のように登場します。1品ごとの上げ幅は小さく見えても、毎日・家族分・1年分と積み重なれば、家計への負担は決して小さくありません。
見落としやすいのが、値札だけを見ていると気づきにくい「実質値上げ」です。価格は据え置きでも内容量が減っていれば、実際の負担は増えています。今回の値上げでも、納品価格改定だけでなく商品規格変更を伴うメーカーがあります。
見抜く手がかりは、グラム単価です。価格そのものではなく、100gあたりいくらかで比べると、量の変化にも気づけます。買い物のときに内容量の表示を一度確かめてみましょう。それだけで、ふだんの割高な買い方に気づけることがあります。
加工肉の出費を抑える、6つの段取り
では、家計としてどう受け止めればよいのでしょうか。我慢して食卓を寂しくする前に、買い方と使い方を少し工夫するだけで負担はやわらぎます。順に見ていきましょう。
1つ目は、グラム単価で選ぶことです。前に触れたとおり、価格と内容量の両方を見て、実質値上げを見抜きます。値札の数字だけで判断しないのが第一歩です。
2つ目は、冷凍保存の活用です。ハムやソーセージは小分けにして冷凍できます。まとめ買いして使う分だけ解凍すれば、食品ロスを減らせます。
3つ目は、特売とプライベートブランドの組み合わせです。定番品はプライベートブランド(PB)で、こだわりたい品は特売のタイミングで。用途で使い分けると、無理なく総額を抑えられます。
4つ目は、ポイント還元やキャッシュレス決済の活用です。定番の加工肉は、ポイントが多くつく日やまとめ買いのタイミングを選ぶと、実質的な負担を下げられます。
5つ目は、たんぱく源を分散することです。加工肉に偏らず、卵や豆腐、大豆製品、鶏むね肉などに置き換える日をつくると、栄養の面でもバランスがとれます。
6つ目は、使う場面の見直しです。加工肉は朝食やお弁当で毎日の定番であるだけに、頻度と量を少し落とすだけでも、家計への効き目は大きくなります。
無理なく続ける、加工肉との付き合い方
加工肉の値上げは、伊藤ハム・米久と丸大食品が7月から、プリマハムと日本ハムが8月からと、この夏に本格化します。原材料や物流など複数のコストが重なり、すぐには落ち着きにくい状況です。とはいえ、毎日の食卓に欠かせない食材だけに、我慢だけで乗り切る必要はありません。グラム単価で実質値上げを見抜き、冷凍保存やポイントの使い方を工夫すれば、負担はやわらぎます。まずは次の買い物で、内容量の表示を確かめることから始めましょう。


