
投資を始めてしばらく経つと、気になってくるのが税金の扱いです。利益が出たとき自分で手続きがいるのか、損が出たときはどうなるのか。NISAは制度の作りがふつうの口座と違うため、ここを取り違えると損をすることがあります。
会社員が「利益が出たら申告か」と身構えた場面
「口座を開いて2年、そろそろ利益が出てきたので、申告のことを考えないといけないなと思っていて」。都内の会社員、40代の方は、そう言って手を止めました。給与のほかに収入があると申告が必要になる、という話を耳にしていたためです。
ただ、NISA口座の中で出た利益については、考え方が違います。国税庁は、NISA口座で受け取った配当等(金融機関を経由して交付されるもの。株式数比例配分方式を選択したもの)と、その上場株式等を売って生じた譲渡益が「非課税となります」と説明しています。非課税所得は所得金額の計算から除かれるため、NISA口座内で非課税となる利益を確定申告で申告する必要は原則ありません。税金がかからない前提で作られた口座なので、通常の課税口座で利益が出たときとは扱いが分かれます。
年間の投資枠と、生涯の保有限度額
制度の骨格は、2つの投資枠と、生涯の上限で決まっています。金融庁の説明では、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円です。

非課税で持てる期間は無期限で、制度そのものも恒久化されています。期限を気にして売り急ぐ設計にはなっていません。
売った分の枠は消えたままではありません。金融庁は、商品を売却した場合、翌年以降に売却した商品の簿価の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になると説明しています。ライフイベントでいったん現金化しても、枠そのものは戻ってくるということです。
見落としやすいのが、損が出たときの扱い
有利な面ばかりではありません。注意したいのが、損失が出たときです。
国税庁は、NISA口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失は「ないものとみなされます」と説明しています。そのうえで、特定口座や一般口座で持つ上場株式等の配当等や譲渡益との損益通算、繰越控除をすることはできない、としています。
課税口座であれば、損失を他の利益とぶつけて税負担を軽くしたり、翌年以降に繰り越したりする道があります。NISAではその道が使えません。利益が非課税になる代わりに、損失も税務上は存在しないものとして扱われる、という組み立てです。
ここで具体的に考えてみます。課税口座で利益、NISA口座で損失、という年があったとしても、その2つを差し引きして税負担を減らすことはできません。同じ年に両方の口座で取引していると、まとめて計算できそうに見えますが、口座をまたいだ相殺の対象にNISAは入らないためです。
なお、現行制度で口座を持てるのは、口座開設の年の1月1日現在で18歳以上の居住者等とされています。
制度の性格をつかんでから判断を
NISAは、利益に税金がかからない代わりに、損失を他の口座と通算できません。この2つは表と裏の関係にあります。年間の枠と生涯の限度額を頭に入れ、売っても枠が翌年戻ることまで踏まえると、無理のない使い方が見えてきます。自分の口座で迷う点があれば、取引のある金融機関の窓口で確認しておくと安心です。


