※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事診断ページを更新「もしもの備えから分かるお金の使い方」2026年9月

協議書に「何もいらない」と書いても借金は消えない。外れるのは家庭裁判所の相続放棄

税金 相続・贈与
協議書に「何もいらない」と書いても借金は消えない。外れるのは家庭裁判所の相続放棄
協議書に「何もいらない」と書いても借金は消えない。外れるのは家庭裁判所の相続放棄

親が残したのは古い実家と、いくらかの借金でした。何もいらないと兄弟に伝え、協議書にそう書けば済むと思っていませんか。それと家庭裁判所での相続放棄は別の手続きで、分かれ目は借金を負うかどうかにあります。

協議書の「遺産放棄」は相続人のまま。借金は相続分で分け合う

遺産放棄は法律用語ではなく、遺産分割協議で財産を取得しないこと(相続分の放棄)を指します。共同相続人は遺言で禁じられた場合などを除き、いつでも協議で遺産を分けられ(民法907条)、その中で取得しないと決めて協議書に署名押印します。協議がまとまれば家庭裁判所は通しません。

見落としやすいのが借金です。遺産放棄をしても、その人は相続人のままです。各共同相続人は相続分に応じて被相続人の権利義務を承継するため(899条)、借金も同じ割合で引き継ぎ、遺言で相続分が指定されていても、債権者はその承継を承認しない限り法定相続分に応じて請求できます(902条の2)。協議で長男が全部引き受けると決めても、長男だけが負う形にするには、債権者と長男(引受人)との契約、または債務者である相続人と長男(引受人)が契約し、債権者が長男に対して承諾することによる免責的債務引受が要り(472条)、それまではほかの相続人も借金を負ったままです。

相続放棄は家庭裁判所への申述。初めから相続人でなかった扱い

相続放棄は、家庭裁判所にその旨を申述して行います(938条)。口で伝えても協議書に書いても、この申述には当たりません。受理されると、初めから相続人でなかったものとみなされ(939条)、借金も財産も引き継ぎません。

期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内で(915条)、財産を調べても決められないときは家庭裁判所に伸長を申し立てられます。申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。

放棄の後も見ておきます。子の全員が相続放棄し、直系尊属もいないときは、兄弟姉妹が相続人になり、借金を引き継ぐ立場も兄弟姉妹へ移ります(889条)。放棄の時に相続財産を現に占有している人は、相続人か清算人に引き渡すまで自己の財産と同じ注意で保存します(940条)。相続は死亡で開始し、915条の期間もそれを知った時から進むため、親の生前に相続放棄はできません。

借金があるなら見る点は「地位」と「次の順位」

協議書に「何もいらない」と書いても借金は消えない。外れるのは家庭裁判所の相続放棄

借金の有無が不明なときの第3の道が限定承認で、相続で得た財産の限度でだけ債務を弁済する形です(922条)。被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、受取人に指定された相続放棄者も契約上の受取人として受け取れ、相続税では遺贈により取得したものとみなされます(相続税法3条1項1号)。ただし、相続放棄者が取得した保険金には、保険金の非課税金額の規定は適用されません。

借金から外れたいなら、協議書より先に家庭裁判所

遺産放棄は相続人のまま財産を取らない選択で、借金は相続分に応じて残ります。相続人の立場ごと借金から外れるのは、家庭裁判所に申述する相続放棄です。借金の有無を調べ、次の順位に移る家族にも伝えて、3か月のうちに決めましょう。

《編集部》
この記事は役に立ちましたか?
+0
編集部

執筆者: 編集部 編集部

読者の皆様のマネースキルアップにつながる情報をお送りしていきます。 リリース窓口:contact@manetatsu.com 運営会社:株式会社イード

今、あなたにおススメの記事

編集部おすすめの記事