
家族の居場所や取引先の実態を知りたくて探偵への依頼が頭をよぎっても、どの業者を信用してよいかは見えにくいものです。探偵業には届出制と書面の決まりがあり、頼む前に確かめる材料がそろっています。料金表より先に、標識と書面を見ておきましょう。
確かめるのは証明書ではなく営業所の標識
探偵業を営むには、営業所ごとに、所在地を管轄する都道府県公安委員会への届出が要ります(探偵業法4条)。届出をしたことは、営業所の見やすい場所に掲示された標識で分かります(12条)。標識には届出書を提出した公安委員会の名称と受理番号、営業所の所在地などが書かれます。常時使用する従業者が5人以下の業者などを除き、ウェブサイトにも載せる決まりです。
古い案内にある「探偵業届出証明書」は法改正で廃止され、令和6年4月1日からは業者が自分で作る標識を掲示する仕組みです。もっとも警察庁の解釈運用基準では、届出は欠格事由に該当していないことの証明ではなく、届出の後に該当が分かれば営業廃止命令の対象になります。
契約の前後で受け取る2通の書面
契約の前には、探偵業者が重要事項を書面で交付して説明する義務があります(8条)。届出をした公安委員会の名称、提供できる探偵業務の内容、支払う金銭の概算額と支払時期、契約の解除に関する事項などが載ります。契約を結んだ後は、遅滞なく契約の内容を明らかにする書面が交付され、調査の内容・期間・方法や支払う額が書かれます。前は概算額、後は額で、2通そろって法の手順どおりです。
もう1通、依頼者が探偵業者へ出す書面があります。契約を結ぼうとするとき、探偵業者は依頼者から、調査の結果を犯罪行為や違法な差別的取扱いその他の違法な行為に用いない旨を示す書面の交付を受けなければなりません(7条)。これを求めてくるのが法の手順です。業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない義務(10条)も、契約前の書面に記載されます。
行政処分の公表は都道府県警のページで見る
公安委員会は、法令違反で業務の適正な運営が害されるおそれがある探偵業者に必要な措置を指示でき(14条)、指示に従わないときなどは期間を定めて営業の停止を命じられます(15条)。警察庁の案内では、営業停止命令・営業廃止命令など公表対象の行政処分を受けた探偵業者は、都道府県警察または公安委員会のホームページで、届出書の受理番号や名称、処分の内容と理由が処分の日から3年間公表されます。東京都では警視庁が掲載しています。標識で控えた受理番号を、営業所のある都道府県警のページと照らします。

標識、書面、公表の3点を見てから話を進める
急いでいると、業者の言い分をそのまま受け入れがちです。標識で届出を確かめ、契約の前後で2通の書面を受け取り、都道府県警の公表と照らします。この順なら、届出のない業者や中身の曖昧な契約は入口で避けられます。書面が説明と食い違うなど不安があれば、契約前に消費者ホットライン188から消費生活センターへ相談しましょう。


