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遺言で財産を渡されたが、断ってもいい。包括か特定かで手続きが変わる

税金 相続・贈与
遺言で財産を渡されたが、断ってもいい。包括か特定かで手続きが変わる
遺言で財産を渡されたが、断ってもいい。包括か特定かで手続きが変わる

遺言で財産を渡されたとき、ありがたい話のはずなのに受け取ってよいのか決めきれない、という戸惑いは珍しくありません。渡されたものに古い家や借金が含まれていれば、なおさらです。遺贈は断ることができ、その手続きは包括遺贈か特定遺贈かで変わります。何をどの順で確かめればよいのかを解説します。

叔母の遺言で地方の家を託された50代会社員の戸惑い

「叔母が遺言で家を残してくれたのですが、正直、どうしたらいいのか分からないんです。」関東で働く50代の会社員がそう話します。子のいない叔母を折々に手伝ってきた縁で、離れた土地にある古い家と敷地を遺贈されました。

住む予定はなく、売れる見通しも立ちません。管理の手間と固定資産税だけが続く形になりそうです。それでも「気持ちのこもった話を断るのは気が引ける」と、手が止まったままになっていました。

遺贈は受け取らないという選び方もできる

民法は、受遺者は遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができると定めています(民法986条1項)。放棄の効力は遺言者が亡くなった時にさかのぼって生じるため(同条2項)、はじめから受遺者ではなかった扱いになります。ただし、包括遺贈の場合は、後述のとおり相続の場合と同じ手続で承認・放棄をする扱いになります。

放棄した財産が宙に浮くわけでもありません。受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属します(民法995条)。遺言に別段の意思が示されていれば、その内容が優先されます。断ることは、遺言者の気持ちを無にする行為ではなく、法律があらかじめ用意している選択肢です。

そもそも遺贈が成り立たない場合もあります。遺言者の死亡以前に受遺者が死亡していたときは、その遺贈は効力を生じません(民法994条)。受け取るか断るかを考える前に、遺贈が生きているかどうかから確かめる順番になります。

包括か特定かで、確かめる順番が変わる

まず遺言書の書き方を読み取ります。「財産の全部」「財産の3分の1」のように割合で示されていれば包括遺贈、「この家と土地」のように対象が名指しされていれば特定遺贈です。

遺言で財産を渡されたが、断ってもいい。包括か特定かで手続きが変わる

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します(民法990条)。このため債務も承継し、遺産分割にも参加します。包括遺贈の場合は、遺贈の承認又は放棄も相続の場合と同じ手続で行います。一方で、相続人が相続を放棄するには、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述しなければなりません。財産の状況を調べても判断がつかないときは、家庭裁判所にこの期間の伸長を申し立てられます。包括遺贈を受けたと分かったら、3か月の期間を意識し、早い段階で家庭裁判所や専門家に確かめておきたいところです。

断るかどうかは、遺言書を読むところから始まる

遺贈は断ることができ、放棄すればはじめから受遺者でなかった扱いになります。ただし包括か特定かで立場が変わり、包括なら債務まで引き受ける形になります。まず遺言書で自分がどちらなのかを確かめ、迷うなら家庭裁判所や専門家へ。抱えたまま時間を置くほど、選べる道は狭くなります。

《編集部》
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