
入院や賃貸住宅の申込書にある「緊急連絡先」の欄で、ペンが止まることがあります。親は亡くなり、兄弟とも疎遠で、頼める人が浮かばない方もいるでしょう。有料のサービスにすぐ申し込む前に、相談できる地域の窓口があります。民間に頼む前の確認の目安とあわせて、動く順番を押さえておきましょう。
欄が埋まらないときに話を持ち込める先
この欄に出会うのは、入院の手続きや賃貸住宅の契約といった場面です。厚生労働省の資料も、緊急連絡先がなく手続きが進められないことを困りごとの例に挙げています。一方、国のガイドラインは、医療機関が身元保証人等がいないことのみを理由に入院を拒むのは不適当とされている、と注記しています。
消費者庁のポイント集は、どこに相談すればよいか分からないときは地域包括支援センターに相談するよう案内しています。厚生労働省も、市町村や同センターに、身元保証などのサービスの相談には助言するよう求めています。
自治体独自の支えもあります。たとえば東京都大田区は、部屋を借りる際に保証会社を使う場面で、緊急連絡先となる人がいない場合に、緊急連絡先となる団体を紹介しています。ただし、対象世帯などの条件があり、団体の審査によって利用できない場合もあります。有無は自治体ごとに違うため、住んでいる市区町村の案内で確かめてください。
令和8年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」では、頼れる身寄りがいない高齢者等への日常生活支援や入院・入所の手続支援などを、利用者のうち一定割合以上に無料または低額で提供する事業を第二種社会福祉事業に位置づけることとされました。厚生労働省は支援の例に緊急連絡先の提供を挙げており、この改正部分は2026年10月16日時点では未施行で、施行日は公布後2年以内に政令で定める日とされています。
民間の団体に頼む前に、国の指針で確かめたいこと
緊急連絡先の引き受けなどを有料で行う事業者もあります。内閣官房や消費者庁、厚生労働省などは令和6年6月に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を作りました。事業者を認定する制度ではありませんが、利用者が確かめる目安にもなるとされ、チェックリストも付いています。
ガイドラインは、身元保証等サービスの一つに緊急連絡先の指定の受託と緊急時の対応を挙げ、土日・休日の対応体制など対応できる事項と費用を丁寧に説明することが重要だとしています。契約書や重要事項説明書の交付も重要とされ、説明する重要事項には判断能力が低下した場合の対応方針や預託金の管理方法、解約時の返金の扱いが挙がっています。

契約したら、頼み先が周りに伝わる形に
消費者庁のポイント集は、誰と何の契約をしているかを書面に残し、緊急連絡先などと一緒に分かりやすいところに保管するよう勧めています。ガイドラインも、事業者の連絡先を身に着ける、自宅に掲示するといった伝え方を、事業者と相談して決めておくことが望ましいとしています。
一人で抱えず、順番に動けば備えは整う
緊急連絡先の欄が埋まらないときは、まず地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談しましょう。民間の事業者に頼むなら、ガイドラインのチェックリストを手元に、緊急時に何をしてくれるかを書面で確かめてから契約を。頼み先を決めて周りに伝えておけば、いざというときも落ち着いて動けます。


