
籍を入れないまま子どもを迎えることになり、父親としても親権を持ちたいと考えていても、何から手をつければよいのか迷う方もいるでしょう。2026年4月に民法が変わったと聞いても、離婚後の話に見えて、自分たちに関わるのか分かりにくいものです。最初に知っておきたいのは、父が認知をしただけでは親権者にならないことです。
認知で父子の関係が生まれても、親権は母が行う
事実婚、つまり婚姻届を出していない父母の間に生まれた子は、嫡出でない子と呼ばれます。鹿児島市の案内では、この子と父との間に法律上の親子関係を成り立たせるのが認知です。
注意したいのは、認知と親権が別々に決まる点です。民法は、父が認知した子に対する親権は母が行うとしています。認知で父子の関係が生じても、それだけで父が親権者になるわけではありません。
一方で法務省は、父母は親権や婚姻関係の有無にかかわらず、子を扶養する責務を負うと案内しています。
認知の届け出は父が市区町村の窓口へ
届け出るのは、認知をする父です(広島市の案内)。鹿児島市の案内では、窓口は届出人の所在地か本籍地、または子の本籍地の市区町村です。胎児のうちに認知するときは母の承諾が要り、届け先は母の本籍地になります。広島市の案内では、届け出た日が認知した日です。
認知されても、子が父の戸籍に移ることはありません(鹿児島市の案内)。子どもの氏(名字)を父の氏に変えたいときは、家庭裁判所の許可を得て届け出ます。
2026年4月の改正で開いた、父母の双方が親権者になる道
2026年4月1日に施行された改正民法で、認知した子の親権者の決め方が変わりました。改正前は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り父が親権を行う定めでした。改正後は、父母の協議で父母の双方または父を親権者と定められます。
協議で親権者を定めたときは、父母が市区町村に親権(管理権)届を提出します。協議による指定の効力は届出日に生じます。話し合いがまとまらないときは、父か母が家庭裁判所に親権者指定の調停を申し立てられ、不成立なら審判に移ります。家庭裁判所は父母と子との関係や父と母との関係などを考え、子の利益の観点から双方か一方かを定めます。

父母の双方が親権者になると親権は原則として共同して行いますが、民法は、監護及び教育に関する日常の行為は一方だけでできると定めています。法務省の解説資料では、子の食事や服装など、子に重大な影響を与えない日々の世話がこれに当たるとされています。
認知と話し合い、二つの段取りを順に
事実婚で子どもが生まれたとき、親権は母が行い、父との法律上の親子関係は認知によって生じます。そのうえで、母だけが親権者のままにするか、父母の双方か父を親権者にするかを話し合い、定めたら届け出るのが改正後の流れです。まとまらなければ家庭裁判所の手続きがあります。迷ったら、法務省のパンフレットや裁判所の手続きの案内を確かめてみてください。


