
お盆に実家へ集まると、名義の話が出ます。親と半分ずつ持っている家なら、親が亡くなれば残りも移ってくるように思えます。ですが共有持分は残った共有者へ回るのではなく、いったん相続財産に入ります。行き先を決めるのは共有者どうしの関係ではなく、まずは亡くなった人の相続人の顔ぶれです。
親と持分を半分ずつ分け合う40代会社員の戸惑い
「父と半分ずつ名義を持っている実家は、父が亡くなったらそのまま引き継げるのでしょうか。」都内で働く40代の会社員は、購入資金を父と出し合い、持分を2分の1ずつで登記しました。母は健在で、弟が1人います。
半分はもとから本人の名義なので、残りも自然に移ると考えていました。ですが、法律の組み立ては違います。
亡くなった共有者の持分は、いったん相続財産に入る
民法は、相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています(896条)。共有持分もこの「財産に属した権利」で、亡くなった人だけに専属するものではありません。残った共有者の持分が自動で膨らむ、という仕組みにはなっていないのです。
相続人が数人いるときは、相続財産はその相続人の共有になります(898条1項)。先の例なら、父の2分の1は母と子2人の3人で共有する状態から始まります。
ただし、例外もあります。共有者が死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属します(255条)。もっとも、相続人がいない場合でも、特別縁故者による財産分与の請求があるときは、その手続きの結果を踏まえる必要があります。相続人がいるかどうかで、まず見るべきルートが変わります。
誰がどれだけ受け取るかは、相続人の顔ぶれで変わる
遺言で相続分が指定されていない場合、目安になるのが法定相続分です。配偶者は常に相続人になり(890条)、それ以外は子、直系尊属、兄弟姉妹の順で配偶者と並びます(887条、889条)。割合は民法900条が次のように定めています。

子や直系尊属、兄弟姉妹が複数いるときは、原則として均等に分けます。配偶者がいなければ、その順位にあたる相続人だけで分けます。
親子で共有していた実家なら、親の持分は残された配偶者と子へ向かいます。夫婦で共有していた実家で夫が亡くなり子や孫がいない場合は、妻と夫の親などの直系尊属、それもいなければ妻と夫の兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに亡くなっているときは、その子であるおい・めい)が受け取る側です。同じ家でも、亡くなった共有者の家族構成が違えば持分の行き先は変わります。なお、遺言で相続分が指定されているときは、その指定が法定相続分に優先します(902条)。
話し合いで決めるのが原則。動くのは早いほうがいい
法定相続分はあくまで目安で、この割合どおりに分ける必要はありません。共同相続人は原則としていつでも協議で遺産を分割でき(907条1項)、話し合いが調わないときは家庭裁判所に分割を請求できます(同条2項)。共有のまま次の相続が起きれば持分はさらに細かく分かれ、話す相手も増えます。登記事項証明書で今の名義を確かめ、弁護士や司法書士などの専門家に早めに相談してみてください。


