
離婚の話し合いで最後まで残りがちなのが、住んでいる家の扱いです。名義が相手だから自分には関係ない、と思い込んでいる方は少なくありません。ですが2026年4月、家庭裁判所に持ち込める期間が変わりました。家の分け方と、動く順番を紹介します。
持ち家の名義が自分ではなかった40代女性の戸惑い
「この家には住み続けたいのですが、名義は夫のままなんです。」離婚の話し合いを進めていた40代の女性は、そう言って手を止めました。結婚してから二人の収入で返してきた家ですが、登記に載っているのは夫の名前だけです。自分が口を出せる財産なのかどうかも分からないままでした。
ここで見落とされやすいのが、名義と分与の対象は別だということです。家庭裁判所の説明資料では、夫婦が婚姻中に協力して取得し維持した財産は、どちらの名義であっても財産分与の対象になるとされています。反対に、婚姻前から持っていた財産や、婚姻後でも相続などによって取得した財産は対象になりません。こうした一方だけのものを、民法762条1項は特有財産と呼んでいます。
最初の一歩は、法務局で登記事項証明書を取ることです。誰でも請求でき、請求先も原則としてその不動産を管轄する法務局には限られません(不動産登記法119条)。名義人が誰か、住宅ローンの担保が付いたままかを、ここで一度に確かめられます。
家の分け方は、売って現金にするか、住み続けて別の財産を渡すか
分け方は大きく2つに分かれます。売って現金にしてから分ける方法と、どちらかが住み続けて、その代わりに預貯金など別の財産を相手に渡す方法です。どちらを選ぶかで、先に確かめておくことも変わります。

住み続ける側にとっては、渡せる財産が手元にあるかが分かれ目になります。住宅ローンが残っているなら、名義と残高だけは先に押さえておきましょう。ここが空欄のまま分け方を決めても、話が振り出しに戻ります。
話がまとまらないときに家庭裁判所へ持ち込めるのは離婚から5年
当事者だけで決まらないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できます。この請求ができるのは離婚の時から5年です(民法768条2項)。2026年4月1日に施行された改正で、それまでの2年から延びました。
気をつけたいのが、施行日より前に離婚した場合です。このときの期間は従前の例によるとされており、2年のままです。自分がどちらに当たるかは、離婚した日で決まります。
この5年や2年は家庭裁判所へ持ち込める期間であって、当事者どうしの話し合いそのものを止めるものではありません。申立先は、相手方の住所地の家庭裁判所か、二人で合意して決めた家庭裁判所です。
登記まで終えて、はじめて分け終わる
決めた内容は、名義を移すところまで進めて完了します。不動産の権利の移転は、登記をしなければ第三者に対抗できません(民法177条)。申請は元夫婦が共同でするのが原則で、法務局には財産分与用の申請書様式もあります。名義と期限を確かめてから分け方を決め、最後に登記まで運びます。この順で進めれば迷いません。


