
生前に「遺言は用意してある」と聞いていたのに、いざ探すと出てきません。帰省のたびに家中をひっくり返しても見つからず、家族で気まずくなることがあります。実は、家探しだけが手段ではありません。預け先に問い合わせて、遺言書があるかどうかそのものを確かめる道があります。心当たりのある窓口から、順に当たってみませんか。
手元に置かれた遺言は、しまわれる場所が偏る
自分で保管していた遺言書は、貴重品と同じ扱いを受けていることがほとんどです。仏壇や神棚、金庫、たんすの引き出し、通帳や実印と一緒の場所。銀行の貸金庫に預けているケースもあります。
生前に相談していた相手がいれば、そちらにも当たります。付き合いのあった弁護士や司法書士、税理士が原本や写しを預かっていることがあります。ただし貸金庫は、相続人がそろわないと開けられない金融機関もあるため、手続きの確認が先になります。
法務局に預けられていないかは、証明書1通で分かる
自筆の遺言書を法務局が預かる制度があります。ここに預けられていたかどうかは、遺言書保管事実証明書という書類を取れば分かります。手数料は1通800円で、収入印紙で納めます。
請求できるのは遺言者が亡くなった後です。生前に家族が問い合わせても、有無すら教えてもらえません。窓口は全国どこの遺言書保管所でもよく、郵送か来庁を選べます。来庁する場合は予約が要ります。
預けられていたと分かったら、次は中身です。遺言書の画像が載った遺言書情報証明書を請求すれば、原本を見に行かなくても内容を確認できます。こちらの手数料は1通1,400円です。
読み方に注意したい点があります。相続人が請求して「保管されていない」と出たなら、その遺言者は一通も預けていないという意味です。一方、相続人以外の人が請求して同じ結果が出ても、証明されるのはその人を受遺者などとする遺言書がないことだけで、別の遺言書が預けられている可能性は残ります。
公正証書なら、全国どこの公証役場でも照会できる
公証人が作る公正証書遺言は、原本が公証役場側に保管されます。平成元年以降に作られたものであれば、遺言の効力が生じた後に、相続人などの利害関係人が全国の公証役場で作成の有無を問い合わせられます。
秘密証書遺言は事情が違います。封をした遺言書そのものは遺言者が持ち帰って保管するため、探す場所は手書きの遺言と同じになります。

見つからないままでも、話し合いは止めなくてよい
ひととおり当たっても出てこないなら、相続人全員で遺産分割協議を進めて構いません。ただし後から遺言書が出てくると、内容によっては分け方をやり直すことになります。だからこそ、協議に入る前に法務局と公証役場の2か所だけは確かめておくと安心です。どちらも遺言者が亡くなった後でなければ動けないので、必要書類をそろえるところから始めましょう。


