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実家から出てきた手書きの遺言。効くかどうかは、中身より「4つの形」で決まります

シニア 終活
実家から出てきた手書きの遺言。効くかどうかは、中身より「4つの形」で決まります
実家から出てきた手書きの遺言。効くかどうかは、中身より「4つの形」で決まります

夏の帰省で実家を片づけていると、思いがけないものが出てくることがあります。封筒に入った手書きの遺言書もそのひとつです。故人の気持ちがつづられていても、法律が求める形を外していれば、その一枚は効き目を持ちません。民法が自筆の遺言に求めている形は、意外なほど具体的です。

押し入れから封筒を見つけた50代の戸惑い

「父の字だとは思うんです。ただ、これで通用するものなんでしょうか。」お盆に実家へ帰った50代の会社員が、押し入れの奥から出てきた封筒を前に手を止めました。便箋に鉛筆書きで財産の分け方が並び、末尾には名前だけが記されています。

自筆証書遺言に民法が求めているのは4つです。全文を自分で書くこと、日付を書くこと、氏名を書くこと、そして印を押すことです(民法968条1項)。この4つは並列で、どれかひとつでも欠ければ方式を満たしません。印の種類までは条文に書かれていないため、実印でなければならないという決まりではありません。

パソコンで打った本文や、家族が代筆した本文は、この「自書」にあたりません。読みやすさのために清書してもらった一枚が、かえって効き目を失うことになります。

日付は形式上の飾りではありません。同じ人が書いた遺言が2通出てきた場合、内容がぶつかる部分については後の日付のもので前のものを撤回したとみなされます(民法1023条1項)。どちらが後なのかを決める手がかりが日付なので、抜けていると比べようがなくなります。

財産目録だけは、手書きでなくてよい

例外がひとつだけあります。遺言書と一体のものとして添付する財産目録については、自書が要りません(民法968条2項)。不動産の登記事項証明書や預金通帳の写しを目録として使うこともできます。

ただし条件が付きます。目録の毎葉に署名し、印を押すことです。自書によらない記載が両面にある紙なら、その両面にです。

実家から出てきた手書きの遺言。効くかどうかは、中身より「4つの形」で決まります

書き足した跡と、連名の遺言に注意

本文に書き足しや消し込みの跡があるときは、直し方も条文で決まっています。変更した場所を指示し、変更した旨を付記して署名し、さらにその変更の場所に印を押す必要があります(民法968条3項)。ここまでそろって初めて、その変更が効力を持ちます。二重線を引いて訂正印だけを押した、という直し方では手順を満たしません。

もうひとつ、夫婦で1枚の紙に書いた遺言は認められません。遺言は2人以上が同一の証書ですることができない、と定められているためです(民法975条)。仲のよい夫婦ほどやってしまいがちな形です。

形が欠けていたときも、家族の話し合いは進められます

出てきた遺言書が方式を満たしていなければ、その内容に法的な効力はありません。とはいえ、相続人全員が納得すれば、書かれていた意向に沿う形で遺産分割協議をまとめることはできます。折り合いがつかないときは、家庭裁判所の調停という場があります。

封印のある遺言書は自分たちで開封せず、家庭裁判所で相続人等の立会いのもと開封・検認する必要があります。封印がないものも、公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言でない限り、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求するのが出発点です。

《編集部》
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