
入所が決まって最初に気になるのが、毎月いくら払うことになるのかです。特別養護老人ホームの費用は施設ごとの言い値で決まるように見えますが、実際には介護保険の決まりごとが額の大半を組み立てています。しかも8月は、その組み立てが年に一度切り替わる月です。同じ施設の同じ部屋でも、請求額は家族によって同じになりません。
入所が決まった直後にやってくる最初の請求書
「順番が回ってきたのはありがたいのですが、届いた請求書を見て固まってしまいました。」母親の入所が決まった50代の会社員は、そう振り返ります。年金の範囲でおさまると聞いていたのに、ふたを開けると足が出ていました。施設に尋ねても契約の内容ですと言われ、何がその差をつくっているのか分からないままだったといいます。
特養に入れるのは原則として要介護3以上の人です。要介護1・2でも、認知症で日常生活に支障が出ている、家族による支援が期待できないといった事情があれば、市町村の関与のもとで特例的に入所できます。ただし入所したあとの負担は、要介護度だけで決まるわけではありません。
毎月の支払いをつくる4つの費目
施設に入所したときの支払いは、介護サービス費の自己負担、居住費、食費、日常生活費の4つに分かれます。介護サービス費の自己負担はかかった費用の1割が原則で、一定以上の所得がある人は2割または3割になります。居住費と食費は、補助の対象ではない人は施設と利用者の契約で決められます。日常生活費は理美容代や教養娯楽費など、暮らしのなかで通常必要になる費用です。
このうち居住費と食費には、所得の低い人を対象にした補助があります。市町村に申請して認められると、決められた限度額までの負担で済みます。逆にいえば、同じ部屋を使っていても、この認定があるかどうかで月々の額は大きく変わります。
8月に切り替わる負担割合と、居室で差がつく居住費
介護サービス費の負担割合は前年の所得をもとに毎年判定され、負担割合証の有効期間は8月1日から翌年7月31日までです。夏に届くこの1枚で、その年の1割か2割か3割かが決まります。
居住費のほうは、部屋のタイプで水準が変わります。補助の計算に使う標準的な額は、特別養護老人ホームの場合は次のとおりです。

食費の標準的な額は1日1,545円、月4.7万円が目安です。この額は令和8年8月から1日あたり100円引き上げられました。
施設に聞く前に、手元の2枚を確かめる
毎月の請求額が読めないと感じたら、負担割合証と、居住費と食費の軽減を受けるための負担限度額認定証が手元にあるかを確かめてみてください。前者は毎年8月に切り替わり、後者は申請しなければ発行されません。部屋のタイプも含めて、額を動かせる余地がどこにあるのかは、この2枚と契約書を並べれば見えてきます。判断に迷うときは、担当のケアマネジャーや市町村の介護保険担当窓口へ相談してみましょう。


