
親の暮らしを支える用具は、まずレンタルを思い浮かべる方が多いはずです。ところが介護保険では、借りるものと買うものが用具ごとに分かれていて、こちらの都合では動かせません。用具を決める前に、その線がどこに引かれているのかを確かめておきましょう。
車いすを探し始めた家族がつまずくところ
「レンタルでいいと思っていたのに、これは買ってくださいと言われて驚きました。」
親と離れて暮らす50代の会社員から、こうした声は少なくありません。介護保険の福祉用具には、借りる「福祉用具貸与」と買う「特定福祉用具販売」の2つの扱いがあり、どちらになるかは利用者ではなく用具の種目で決まります。介護保険法は買う側を「入浴又は排せつの用に供するもの」その他厚生労働大臣が定めるものとしており、お風呂とトイレまわりの用具がここに入ります。
借りる13種目と買う9種目の分かれ目
種目は告示で決まっていて、借りる側が13種目、買う側が9種目あります。同じ手すりでも、置くだけのものは借りる側で、取り付け工事をするものは住宅改修という別の枠に移ります。

この10万円は国の基準で、市町村が条例で上回る額を定めることもできます。同じ種目の買い直しは原則対象外で、破損したときなど市町村が認める場合が例外です。
2024年4月から、借りるか買うかを選べる用具が出てきた
一部の用具に限っては、貸与と販売のどちらかを選べます。対象は固定用スロープ、歩行器(歩行車は除く)、単点杖(松葉づえは除く)、多点杖の4つです。ケアマネジャーから制度の説明を受け、医師などの所見を踏まえてサービス担当者会議などで話し合ったうえで、本人と家族が決めます。長く使う見通しが立つなら販売、期間が読めないうちは貸与、という提案になります。貸与なら、利用開始後6か月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、貸与継続の必要性を検討します。
要介護度が軽いと借りられない種目がある
要支援1・要支援2と要介護1の人は、車いすと特殊寝台(いずれも付属品を含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具を除く)、自動排泄処理装置が原則として給付の対象外です。自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引するものを除く)は、要介護2と要介護3の人も原則対象外とされています。
ただし例外があります。要介護認定の基本調査の結果で必要性が確かめられる場合のほか、状態が日や時間帯で変わる、短期間で悪化することが確実に見込まれる、重い症状を避けるために必要、のいずれかが医師の所見で示され、会議で特に必要と認められれば、市町村が確認して要否を判断します。
用具の名前より先に、どちらの扱いかを聞く
借りるか買うかは、値段でも希望でもなく用具の種目で決まっています。お風呂とトイレまわりのものは買う側、体を支え移動を助けるものは借りる側が基本で、2024年4月からはその境目に選べる用具が加わりました。必要な用具の見当がついたら、ケアマネジャーか福祉用具専門相談員に、どちらの扱いかを先に聞いてみてください。


