
お盆の帰省で、親の足取りが去年より危なっかしいと感じた方もいるでしょう。元気なうちは介護の話を切り出しにくいものですが、介護は転倒や入院をきっかけにある日始まります。慌てずに動けるかどうかは、相談先と申請の入口を先に知っているかで決まります。今のうちに家族で押さえておきましょう。
最初の相談先は、市区町村が設置する地域包括支援センター
介護が始まってから慌てて探すことになりやすいのが、相談できる場所です。厚生労働省によれば、市区町村は、高齢者の総合相談、権利擁護、地域の支援体制づくり、介護予防に必要な援助などを担う中核的な機関として地域包括支援センターを設置しています。介護保険法でも、設置できるのは市区町村と、市区町村から委託を受けた者とされています。
つまり、担当するエリアも運営する法人も地域によって違います。どのセンターが担当なのかは、離れて暮らすほど調べにくいものです。帰省したときに名称と場所と電話番号を控え、家族で共有しておくだけで、いざというときの初動が変わります。
要介護認定の申請先は市区町村。手続きは代わりに頼める
介護保険のサービスを使うには、要介護認定を受けることが出発点になります。介護保険法では、認定を受けようとする本人が、申請書に被保険者証を添えて市区町村へ申請することになっています。あわせて、指定居宅介護支援事業者、地域包括支援センター、厚生労働省令で定める地域密着型介護老人福祉施設や介護保険施設に、申請の手続を代わって行わせることもできるとされています。
申請から認定の通知までは原則30日以内です。この間に、市区町村などの調査員が訪問して心身の状態を確認する認定調査が入ります。認定後のケアプランの相談先は、要介護度によって大きく分かれます。ただし要支援1・2では、地域包括支援センターのほか、市区町村から指定を受けた居宅介護支援事業者に依頼できる場合もあります。利用者の負担はかかった費用の1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。

勤め先からは、介護に直面する前に情報が届く
働きながら支える準備は、2025年4月1日に施行された育児・介護休業法の改正で一段早まりました。事業主は、労働者が40歳に達する日の属する年度など厚生労働省令で定める時期に、介護休業や両立支援制度の情報を知らせなければならないとされています。研修や相談窓口といった雇用環境の整備も、事業主が講じる措置に含まれます。
見落としやすいのが、その次の段階です。家族が介護を必要とする状況に至ったと申し出れば、事業主は制度を個別に知らせ、利用の意向を確認することになっています。裏を返せば、申し出ないかぎり個別の説明は始まりません。「まだ確定していないから」と黙っていると、使えたはずの仕組みに気づけないまま時間が過ぎます。
決めておくのは、連絡先と役割の2つから
介護は、備えの有無で最初の1週間の消耗がまるで違います。まず地域包括支援センターの連絡先を控えます。次に、認定の申請では誰が動くのかを決めておきます。そのうえで、勤め先から届く両立支援の案内に目を通します。どれも親が元気なうちにできることです。顔を合わせるこの時期に、短くていいので話しておきましょう。


