
退職から1か月、健康保険の手続きだけが手つかずという人がいます。任意継続も家族の扶養も選ばず、次の勤め先も決まっていません。その空白は、届け出るまで待ってはくれません。資格は辞めた日の翌日から生じ、保険料もその月分からかかります。今日できるところから片づけましょう。
会社を辞めて1か月、次の保険を決めないまま過ぎた30代
「辞めた翌日から自分の保険がどうなっているのか、正直わかっていないんです。」首都圏の会社に10年ほど勤め、7月半ばに退職した30代の男性です。次の勤め先はまだ決めていません。
任意継続の案内は受け取っていましたが、返事をしないうちに申し出の期間が過ぎました。配偶者の扶養に入る話も収入の見込みが立たずに保留のままで、市区町村の窓口へも足が向いていません。
本人の感覚では、まだ何も起きていません。ところが制度の側では、辞めた日の翌日から時計が動き始めています。
抜けた日の翌日から、国民健康保険の資格はもう生じている
健康保険法では、事業所に使用されなくなった日の翌日に被保険者の資格を失います。国民健康保険法は、健康保険の被保険者や被扶養者を対象から外し、そこに当てはまらなくなった日から資格を取得すると定めています。退職日の翌日には、もう国民健康保険の被保険者になっている計算です。
ただし、これは誰にでも当てはまる結論ではありません。任意継続を選んだ人、家族の被扶養者になった人、次の勤め先の健康保険に入った人は、国民健康保険の対象から外れます。翌日から国保という話が効くのは、どれも選ばなかった場合だけです。
出す届出は国民健康保険の加入届で、届け出るのは世帯主です。国民健康保険法施行規則は、資格を取得した日から14日以内に届書を市区町村へ出すよう定めています。持ち物は名古屋市の場合、職場の健康保険をやめたときは健康保険の資格喪失証明書、退職証明書、離職票のいずれか1つに加え、キャッシュカードなどが案内されています。
14日を過ぎても届出はできる。ただし空いた期間は消えない
期限を過ぎたら入れない、ということはありません。中野区は、14日を過ぎてからの加入申請でも、資格は事由が発生した時期にさかのぼって取得すると案内しています。保険料も後から追いつきます。北九州市は届け出をしたときではなく資格が発生した時点までさかのぼって納めると案内し、名古屋市も加入する事実が発生した月からかかると書いています。
やっかいなのは、届け出る前に病院にかかっていた場合です。医療機関の窓口ではマイナ保険証や資格確認書で資格を確かめますが、加入手続きが完了していない状態では、一時的に資格確認書が手元にない状態が生じ、いったん10割を支払う扱いになります。加入届のあとで療養費の支給を申請できる場合がありますが、国民健康保険法は、電子資格確認等により確認を受けなかったことが緊急その他やむを得ない理由によるものと市町村が認めるときに支給する、と書いています。14日を過ぎて加入手続きが遅れた場合は、やむを得ない事情が認められる場合を除き、原則として加入手続きが完了するまでの間は医療給付を受けられないことがあります。請求できるのは、医療費を払った日の翌日から2年までです。

先延ばしにするほど、まとめて追いついてくる
置いたままの期間は、記録の上で空白になりません。逆にいえば、今日窓口へ行けば遅れはそこで止まります。資格喪失証明書を探すところから始めて、市区町村の国民健康保険の窓口へ相談してみてください。


